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キングのタマゴVol.3 小泉徳宏


日本の映画界、制作現場が潤ったらもっと面白くなる!

◆PROFILE

小泉徳宏(TOKUHIRO KOIZUMI)
1980年、東京都出身。高校で映画に興味を持ち、大学在学中にI's filmを結成し、代表を務める。第14回東京学生映画祭でグランプリのほか数々の映画祭で注目される。昨年11月22日に「タイヨウのうた」DVDを発売。


お客さんを楽しませるエンターテインメント作品で勝負!

撮影時の05年で25歳。屈託のない笑顔を浮かべるこの童顔の新人が、いきなり全国公開の作品を任され、劇場長編映画デビューを果たしたのは06年の夏。人気アーティスト・YUI主演の『タイヨウのうた』をヒットさせた小泉徳宏監督。大学時代から旺盛に自主制作に取り組み水戸短編映画祭ほか国内外数々のアワードで受賞。さすがの逸材である。

映画監督になるために就職活動を選んだ

「プロへの道は遠かったですね。“賞さえ獲れば何とかなる”って空気が僕も含め、何もわかっていない大学生のあいだではあったんですが(笑)、現実の厳しさを痛感させられました」

突破口は、ワークショップに参加して出会った篠原哲雄監督のアドバイス。

「篠原さんの助監督に就かせて頂くお話もあったんですが“新卒で就職活動するのも一生で一回しかない経験だからやってみたらどうか。それでダメだったら来ればいいじゃないか”って言っていただいて」

そして見事、第一志望の制作プロダクションROBOTの内定を得た……のだが!

「僕の希望とは違ってCM制作部で採りたいと。先に内定をもらっていた別の会社は、CMディレクター職での採用だったので悩み抜いた結果、後者に決めました。でもROBOTに対し、電話1本で断るのは忍びなかったのでアポをとって伺い、お断りする旨の手紙を阿部(秀司)社長の前で読みあげたんですね。いま考えると何様って感じなんですけど(笑)。そうしたらいろいろと心を配っていただき、“器のでかい方だなぁ”と感服し、この人のためになるならどの部署でもいいと、お世話になることを決めました」

映画に出会って、これまで好きだと思っていた趣味が色あせてしまった

現在ROBOT映画部に所属。生来の行動力が入社4年目での監督抜擢を生んだ。

「高校時代に授業で映画を作って、魅了され、それまで僕が趣味だと思っていたものがみんな吹き飛んでしまった。以来、試行錯誤しながらここまで進んできたんですが、エンターテインメントも野心作もどちらも出来る、スピルバーグみたいな“スタイル”の監督になりたいですね」


photo by Emori Yasuyuki
江森康之・写真
text by Yukio Todoroki
轟 夕起夫