KING創刊号 武器よ、さらば!

別コラム『M4カービン解説』

M4カービン。
この名称を翻訳すると、米軍が採用した4番目のカービンとなる。

カービンとは、馬上で騎兵がライフルを扱い易くするために、全長を短くしたタイプの銃をカービンと呼ぶ。日本語では騎兵銃と呼ぶ。
一番目のM1カービンは、第二次世界大戦中に、ライフルと拳銃の間を埋める兵器として誕生した。
軽量で携帯に便利なので、戦車兵や将校が使用した。

そのM1をベースに、全自動射撃(=引き金を引くだけで弾倉にあるだけの弾丸が連続で発射できる)の機能を付けたM2。そして、さらに赤外線スコープを装着して夜間狙撃に使えるようにしたM3が登場した。
そして、M4カービンは、米軍正式のM16ライフルをベースに作られた。
全長を短くするために、ストックを伸縮式にし、銃身を短くした。
そして、各種装置が装着できるようにレシーバーとフォアストックを改造した。

その目的は、一つ。
特殊部隊が使うためだ。

陸上自衛隊で初めて習志野に編成された特殊部隊、SOG特殊作戦群は、国産の89式小銃より、M4カービンの採用している。
その性能の優秀さは、中尉殿自身もアフガンの実戦で使って証明済みだ。

何が優秀なのか?
各種照準装備搭載だからだ。
それによって、M4は、どんな環境でも敵兵よりも早く銃の狙いを定めて、撃てる能力を有している。
例えば、暗闇を明るくするライトが搭載されている。
今までは夜間用の照準器は、丸いリングが大きいだけで、暗闇で目を凝らして適当に撃つだけだったのだ。
ライトで、明るくすれば、そりゃ当たります。

M4には、さらに優れものが付いている。
赤外線を使用した暗視装置だ。
明りを点灯せずとも、敵が暗闇でみえる暗視装置はIR(赤外線)ライトを照射する。
肉眼では見えないが、暗視ゴーグルとセットで使えば、暗闇が昼間のように見える。
なので、相手を正確に狙える。
そして、レーザーポインターは、赤いレーザーが相手に当たれば、赤い点となって見える。
引き金を引けば、そこに弾は飛ぶ。即ち、狙わなくても、赤い点を敵兵に合わせるだけで、弾はそこに行くのだ。ライトで相手を照らす要領で人を殺せるのだ。

視覚装置も凄いが、照準装置も凄いぞ。
かつては、鉄の丸いリングにフロントサイトの組み合わせだった。
今では、ドットサイト。
スコープの真ん中に赤い点が浮き上がっている。
その点を敵に合わせるだけで、弾はそこに行く。
実際に使ってみると、標的の上下左右の視界も確保されていて、とても速く狙いが定まり、動く標的にもとても有効だ。

そして、撃ち出される弾丸の威力も改善されている。
映画『ブラックホークダウン』で有名なモンガジシオ銃撃戦。
ここで、米軍の使うM193弾は、貫通力は素晴らしいが、敵を倒すためには3-4発必要だった。
米軍は新たにM855弾を採用。
こっちは、一発で敵を倒せる力を持つされていた。

この効果は、アフガンでこのM4を実戦使用した中尉殿も実戦でその効果を確認している。
M4カービンは、2001年からの対テロ戦争で十二分に、その性能を発揮しているのだ。

THEEND


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