2007年08月

2009年(平成21年)5月までに開始される予定となっている裁判員制度。僕たち司法とは関係のない一般人が裁判に参加するこの制度だが、2年以内の開始が謳われている今も、わからないことが多い。そこで、KING本誌の『森達也のヒールジャーナル 特別対談』でも取り上げられた裁判員制度のQ&Aをいくつかご紹介。ある日突然、国からお呼び出しがかかっても慌てないように、今から勉強しておこう。

Q 裁判員制度ではどんな事件の裁判をするの?
Q 死体などの残酷な写真を見てトラウマ(PTSDなど)になってしまう場合の対処法は?
Q 裁判員(候補者)になったら、日当や交通費はもらえるの? もらえるとしたらいくら?
Q 裁判員になることは辞退できないの?
Q 大失恋して精神的に落ち込んでいる場合は辞退はできるの?
Q 1日でも仕事を休むとその後の仕事の保障がない場合は裁判員を断ることができるの?
Q 自分が裁判員になったことを家族や親しい人にも話してはいけないの?
Q 自分が裁判員になった情報が広まる危険性はないの?
Q 質問票の答え方によって裁判員としてふさわしい/ふさわしくないが判断されるの?
Q 質問票の内容でふさわしくない人だと判断される場合、それはどのような人?


Q 裁判員制度ではどんな事件の裁判をするのですか?
A 裁判員裁判は、地方裁判所で扱う刑事事件のうち、殺人や傷害致死など、国民の関心の高い重大な刑事事件について行われます。

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Q 裁判員制度であつかう内容は重大な事件ということで、証拠資料として死体などの残酷な写真を見なければならない必要もあると思います。それが原因で裁判員がトラウマ(PTSDなど)になってしまう場合、どのような対処が行われるのですか?
A 裁判でどのような証拠が調べられるかはケースバイケースです。事件の判断のために、どうしても必要がある場合には、死体などの写真も見ていただかざるを得ないこともありますが、必要もないのに裁判員にショックを与えるような証拠を見ることのないようにするなど、十分な配慮がなされます。

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Q 裁判員(候補者)になったら、日当や交通費はもらえますか? もらえるとしたらいくらですか?
A 裁判所に来ていただいた日数に応じて日当や交通費が支給されます。また、裁判所から家が遠いなどの理由で宿泊しなければならない場合には、宿泊料も支払われます。裁判員候補者として裁判所においでいただいたものの、最終的に裁判員に選ばれなかった方についても同様です。日当の具体的な金額は、裁判員候補者の方は、1日あたり8000円以内、裁判員の方は、1日あたり1万円以内となります。また、宿泊費については宿泊する地域によって、7800円または8700円になります。

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Q 裁判員になることは辞退できないのですか?
A 裁判員制度は、広く国民に参加してもらう制度ですので、原則として辞退はできません。しかし、例えば、70歳以上の方や学生などのほか、一定の「やむを得ない理由」があって、裁判員の職務を行うことや裁判所に行くことが困難な方は、辞退することができます。「やむを得ない理由」とは、例えば、思い病気や怪我、同居の親族の介護・養育などです。
辞退の申立てをする事情のある方は、遠慮なくその理由を率直にお話し下さい。

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Q 最近、大恋愛の末に彼女にフラれてしまい、仕事ができないほどに落ち込んでしまっています。このような精神状況では裁判員を務めきれないと思うのですが、辞退はできるのでしょうか?
A 落ち込んでいる、ということのみでは辞退することはできません。しかし、心身の故障のため、裁判員の仕事を行うことが難しい場合には、裁判員に選任されません。

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Q フリーランスや自営業などの職業の場合、1日でも仕事を休んでしまうと、その後の仕事の保障がありません。そのような場合、裁判員を断ることはできますか?
A 単にフリーランスや自営業であることのみを理由に辞退することはできませんが、とても重要な仕事があり、ご自身が処理しなければ、著しい損害が生じる場合には、辞退が認められることになっています。

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Q 自分が裁判員になったことを家族や親しい人にも話してはいけないのですか?
A 名前、住所などの裁判員個人を特定することができる情報を公にすることは禁じられており、裁判員自身が、自分が裁判員であることを公にすることも禁じられています。これは、裁判員への接触や働きかけを防ぎ、裁判員自身のプライバシーや生活の平穏を保護するとともに、裁判員裁判の公正さを確保するためです。
そこで、例えば、インターネットで自分が裁判員になったことを公表することは許されません。しかし、家族や親しい人に話すことまでは禁止されていません。なお、裁判員でなくなった後に、自分が裁判員であったことを公にすることは禁止されていません。

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Q 親しい人だけに限って裁判員になったことを話したとしても、その情報がどんどん周りに広がっていく可能性は十二分にあります。そのような場合、身の安全は保障されるのですか?
A 名前、住所などの裁判員個人を特定することができる情報を公にしてはならないのは、裁判員自身から聞いた方についても同じです。したがって、親しい人から裁判員になったことについて聞いた方も、それを公にすることは禁じられています。したがって「その情報がどんどん周りに広がっていく可能性が十二分にある」ことはありません。
なお、裁判員の身の安全を守るため、さまざまな工夫がされています。

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Q 裁判員に参加する際、質問票を書かなければいけないと聞きます。その際、答え方によって裁判員としてふさわしい/ふさわしくないが判断されるのですか?
A 裁判員の候補者名簿に名前が載った方には、毎年12月頃に裁判所から、名前が載った旨の通知と、調査票が送られてきます。また、裁判員候補者名簿に名前が載った方の中から、さらにくじで選ばれ、実際に裁判員候補者として裁判所においでいただく方には、裁判の6週間前までに、呼出状とともに質問票が送られていきます。これら調査票や質問票の記載や裁判員等選任手続での質問に対する回答等から裁判員になることができない事由があるかなどが判断されます。

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Q 質問票の内容でふさわしくない人だと判断される場合、それはどのような人ですか?
A (前記の質問でお答えしたとおり、調査票や質問票の記載や選任手続での質問に対する回答等から裁判員になることができない方かどうかの判断を行います)

20歳以上の国民であれば、原則として誰でも裁判員になることができます。ただし、禁錮以上の刑に処せられた人などの欠格事由に該当する場合や、国会議員や司法関係者であるなどの就職禁止事由に該当する場合、また、当該事件の被告人や被害者の親族等や裁判所が不公平な裁判をするおそれがあると認めるなどの不適格事由がある場合には、裁判員になることはできません。

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今回、法務省にヒアリングして掲載したQ&Aは基本的なことが中心となっているけど、調べていけば、疑問もたくさん出てくるはず。そんなときは、裁判所によってまとめられた裁判員制度のHP(http://www.saibanin.courts.go.jp/)もあるので、さらに知りたい人は覗いてみよう。


カテゴリー:裁判員制度Q&A  
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