「こぼればなし」TOPへモドル 緊急編集部対談 佐藤優 vs 河合洋一郎
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その日、今後、深?い事情で、4人が一堂に会すことが不可能な、それぞれの意味で、『崖っぷち男』4人組が集合。彼らから、ドン底からの脱出流儀を学べ!

インテリジェンス That’s it !! 外伝

キング 鈴木先生、田中先生、佐藤さんが国策捜査で組織を追われ、深い事情があるのは知っているのですが、筆坂先生は何でまた?

筆坂 僕は、あまり知られてないね(笑)。

佐藤 筆坂先生の場合、簡単に言えば、ブス対策を忘れていた。自分の金で飲みに行くのに可愛い子ばかりを誘っていたら、お局様のブスたちが怒ったという話。戦術的な失敗ですね(笑)。

キング 一般の会社でもそうであります!

筆坂 佐藤さんの分析は正しい。僕のことを党内で応援してくれている、なかなか美人の女性に、『筆さんは可愛い子ばかり誘うからいけなかったのよ。あの人たちも一度は誘ってあげればよかったのに』と言われました(苦笑)。

キング 大阪新地の超高級クラブを極めた田中さんから見て、どないでっか? ブスも誘わないとアカンのは?

田中 いや、それはそうなんだけど、やっぱりブスを誘うのは勇気がいるでえ。(一同大爆笑)

佐藤 戦略的な観点から見ると、筆坂さんのセクハラ事件は、共産党が労働者階級の政党から、国民政党に脱皮していくプロセスの中で起きたことなんです。筆坂さんは独学でがんばって、党のナンバー4までいった。しかし、国民政党へ変わっていく際に、最初から党官僚でやってきた労働現場を知らない新世代の幹部たちには、筆坂さんのような叩き上げがいつまでも党の上層部にいるのが鬱陶しくなってきた。そういうふうに党が官僚化していく構図の中で起きたことなんですよ。

筆坂 上の庇護がある人間とない人間の違いもあったね。それは出た学校の差ですよ。これは間違いない。僕がもし東大卒ならば、失脚していなかったでしょう。

キング しかし、ボーンと出された。その時、自分を支えていたものはなんですか?

筆坂 絶対に頭を下げない。胸を張る。あいつはセクハラ男だよ、と言われても構わない。悪いことはしていないんだから。でもね、電車乗った時とか、視線が刺すんですよ。

佐藤 昔、外務省の大使にもいましたよ。絶対に頭を下げない男。

鈴木 枝村だな(笑)。

佐藤 ええ(笑)。ロシア人はいつも、あの人は後ろにお辞儀している、とか言ってました(笑)。もちろん筆坂さんとは、まったく違った意味の「頭を下げない男」ですが。

鈴木 やっぱり組織を追い出される背景には、その時の世論とか潮目とかね、様々な要因があるんですよ。私なんかね、田中眞紀子さんが一番人気のある頃だったから、抵抗勢力なんて言われてね。
 で、その田中眞紀子さんを更迭したのは小泉さんなのに、なぜか私が悪者にされてしまった。私は関係ないのに、たまたま小泉さんに使われた。世論も、鈴木宗男はケシからん、という方向に向かってしまった。

キング あの頃は、日本中が鈴木先生の敵のような感じでしたもんね。

鈴木 私はね、国益のためには、田中眞紀子さんは外務大臣を1日でも早く辞めたほうがいいと思っていた。小泉さんはそれを決断した。あれだけ国民に人気のあった政治家を辞めさせる決断を下したわけですから、たいしたもんだと思いましたよ。だから、飯島秘書官が来て『悪いけど、鈴木も辞めてくれ』と、首相のメッセージを伝えられた時、私は『国益のために結構だ』とすぐに受け入れたんです。
 でも、その時、女房がこう言ったんですよ。『お父さんは使われているだけですよ。小泉首相は自分への風あたりを抑える壁が欲しいだけ。その風圧は全部、あなたに来ますよ』と。女房の分析が正しかった。

佐藤 女のほうがそういう時、カンが鋭いですよね。

鈴木 小泉さんはね、私に電話を寄越したんですよ。『鈴木さん、すまん。大変な決断をしてくれた。この借りは必ず返す!』って。そして、『自分は行けないので、今、山崎幹事長を私のかわりに伺わせる』と言っていた。私は、それで一件落着になると思ったんだけど、そこが甘かった。

佐藤 時の首相からそこまでされれば、次に来るのは大臣就任の話だろうくらいに思っても不思議はないですよ。

田中 でも、次に来たのは地検特捜部。小泉を守る壁になったら、そのお返しに大臣への壁をもろうたということですな(笑)。

キング 田中さんは、逮捕されて拘置所に入った時、どんな気持ちで自分を支えたんですか?

田中 支えるもなにも、ワシは起訴されるなんて全然思ってなかったのよ。なにしろ20日間の拘留が終わったら、検察がワシに土下座して謝って、ワシは日本中のヒーローになると思っていたんだから。その頃のワシはものすごく傲慢なところがあってな。ワシがいなければ世の中は回らんと思ってた。

キング でも、拘置所に入ったら、田中さんがいなくても世の中は回っていた(笑)。

田中 ああ、それが一番ショックやった(笑)。だから、起訴されてガックリきたわね。そこから立ち直る方法は自分でもわからんかった。そこで中村天風の本を読んで、要するに人生はすべて心ひとつの置きどころ、心掛け次第だということがわかった。それ以来、とにかく前向きに前向きに別の人生を歩むんだ、ということをずっと考えてきてる。

キング ところで何がこの4人の『崖っぷち男たち』を引き寄せたのでしょうか?すごく不思議なんですけど。

佐藤 後醍醐天皇の魂ですよ。

キング え!?

佐藤 勝ち負けと善悪は別なんです。勝ったヤツが正しくて、負けたほうは間違えというわけではない。その矛盾が一番現れたのが南北朝時代だと思うんですよ。明らかに正しい南朝が、経済力と武力のある北朝にニセ天皇まで立てられて、吉野の山奥に追い込まれた。
 で、この南北朝時代というのは、日本が南北に二分されていたわけではない。南朝といっても、日本全国に支持勢力は点在していたんです。いまでもその構図は同じです。何が正しいかを知っている人々が全国に点在している。だから、鈴木さんの裁判があると、頑張ってくださいという応援の声がいろんなところから寄せられる。筆坂さんを応援する女性も、みんな南朝なんです。南朝の人間には、自分たちのほうが正しいんだという信念がある。時期が来れば、必ずそれがみんなにわかってもらえるということも。だから、刑務所に行くことも怖くない。

キング 4人とも南朝の出身なんですね。さて、一番先に旅立たれる田中先生、いまの心境はいかがですか?

田中 いや、もう楽しんできますよ、ワシは。

佐藤 私も一応、執行猶予が付いてますが、どうなるかわからない。自転車で人をはねても、猶予は取り消しになりますからね。おとなしくしとれっ、ということでしょ(笑)。

キング 田中さんは塀の中で反省するんですよね?

田中 もう反省しとるよ。そういえば、鈴木先生と佐藤さんは、もう本で反省しているね。

キング おふたりの共著『反省』(アスコム刊)ですね。それにしても、あの本に出てる外務省幹部のお歴々の写真、みんな悪辣な顔してますよねえ。

佐藤 私が選んだんです(笑)。本当に反省している感じでいいでしょ?

田中 あれで反省しているんならば、ワシも毎日、反省するよ(笑)。

鈴木 アハハ(笑)。

佐藤 いままで『反省』というタイトルの本が1冊もなかったんですよ。そんな題名の本は絶対に売れないと思われていた。でも、あの本は5万8000部売れましたよ。

鈴木 おー、そんなにいったか!

筆坂 田中さんもキングで反省連載をずっとやったら?

キング それは長い連載になりそうですねえ。メチャクチャ面白いでしょう(笑)。
田中 そない気楽に言うても、塀の中やで。

キング 田中さんは最高裁判決が出て、今度、塀の中に旅立たれる。その前にお聞きしておきたいんですが、鈴木さんの国策捜査に始まる裁判は、元検察庁特捜検事の田中さんから見て、どうなんですか?

続きは4月12日発売のKING5月号で!

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